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歌の部屋

 

 

はじめに

私が かつて勤務していた航空自衛隊の救難隊は、暗夜、悪天候といった過酷な飛行環境の中で任務を強いられる部隊でした。

そのため、私の仲間も任務中に命を落した者も多く、私も機長として、何度となく死を感じながら任務を完遂してきました。

もちろん臆する心も抱きましたが、救助した多くの方々から頂いた感謝のお手紙を見るたびに、また新たなファイトを燃やしたものです。

そんな気持ちを歌にしました。

既に私は現役を退き、もう、そんな危険な飛行をすることもありませんが、今でも時々夢を見ます。航空機が異常を来たし墜落寸前の状況で眼が覚めます。高鳴る心臓の鼓動を鎮めるように胸を撫で下ろすのですが、後輩たちは、今まさにそのような危険と隣り合わせの日々を送っていることを考えると、素直に安堵することもできません。

せめて、歌で、その「誇り」や「勇気」を称えてあげたい・・・そんな気持ちを込めました。

もっとも、製作は現役時代ですから一部の後輩たちは聴いたことがあると思います。ですが、自衛隊を退官し、自由に発言したり、発表できるようになった今、ぜひ、多くの方々にも聴いていただいて、人命救助に命をかけている自衛官の誇りと勇気を、ともに称えてあげて頂ければ・・と思った次第です。

ここには歌詞のみを掲載しています。肝心の歌は、ファイルの都合で載せることができませんでした。たまたま、この歌の製作に協力してくれた友人の渡部哲哉(通称テツヤン)さんが YouTube に載せてくれましたのでそちらで聴いてみて下さい(解説の後のURLをクリックして下さい)。

全く音楽的才能も技術も持ち合わせていない私に、渡部哲哉さんと、今、浜松でYAMAHAに勤務されながら音楽活動をされている石川秀明さん、このお二人が協力して下さり、これらの歌ができました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 

------誇りの翼------

レスキュー・ウィングス

 

暗く冷たい夜の闇に

光るバックライトの計器を見つめ

お前は闇に向かって飛んでいく

必ず助けるという強い想いを胸に

お前はスロットルを握りしめる

お前を待っている人がいる

お前でなければできないから

静める心に激しく燃える闘志

誇りのつばさ

レスキューウィング

俺たちの絆

 

 

割れる(波濤)をみつめながら

シュノーケルをくわえ直し

お前は波に向かって飛び出した

助けきれなかった悔しさが

お前を救助の鬼に変える

お前を待っている人がいる

お前でなければできないから

その手でつかめ かけがえのない命

誇りのつばさ

レスキューウィング

俺たちの絆

 

 

 

闇にうごめくかすかな炎が

地獄のような街を映し出す

お前は闇を選んで降りていく

闇に取り残された多くの命が

お前のサーチライトに希望をつなぐ

お前を待っている人がいる

お前でなければできないから

優しさの中に本当の強さを知る

誇りのつばさ

レスキューウィング

俺たちの絆

 

 

誇りのつばさ

レスキューウィング

俺たちの絆

 

 

詩曲 :高尾 義博

編曲歌:石川 秀明

 

 

http://youtu.be/MUA1R3TRsGs

 

 

 

解説

この歌は1番が捜索機の機長・・暗夜、悪天候を衝いて離陸のためにフルスロットルにしながら、高ぶる心を静めつつ闇に浮かび上がる計器を見つめるパイロット。2番は救難員・・かつての任務で救助しきれずに亡くした命、同じ思いは二度としたくないと、救助機のステップでシュノーケルを銜えなおし、高波に向かって飛び出す男達。3番がCH47大型輸送機の機長・・大震災で瓦礫と化した夜の街、火災から逃れ、救助を待つ人たちに向かってサーチライトを照らしながらアプローチする大型輸送ヘリ・・をイメージしています。

特に3番は、阪神淡路大震災でのCH47の活躍を歌にしましたが、昨年発生した東北の震災でも航空自衛隊の救難団所属のCH47機だけで3000人近くの人命を救助しつつ、福島第一原発へのバッテリー空輸や救援物資の被災地への空輸、更には大型消化バケットでの空中消火活動などに大活躍しました。あまり報道されないので大半の国民には知られていないようですが、このCH47輸送機は、有事において、救助にも輸送にも、最も活躍が期待できる航空機ではないかと思われます。ぜひ応援してあげてください。

 

 

 

------君を守るために------

 

浜松救難隊団結歌

 

 

stage1) 

君を守りたい

この熱い想いを

僕は いつも 胸に秘めて

遠く遙かな空へ

君を守りたい

輝く君の瞳を

僕は いつも そばにいて

眩しく見つめていたい

暗く冷たい 荒れ狂う海

命を拒む波間に

見上げる光の中に輝く 友の笑顔

ああ 夢を 追う 命の守人

太陽に 愛を翳し

夢を紡ぐ 

明日に向かって

僕は 生き抜く

強い力で

君を守るために

 

 

stage2)

君を守りたい

どんなに辛いときにも

僕は 君の心を抱いて

遠く遙かな空へ

君を 守りたい

つぶらな君の瞳を

僕は いつも いとおしく

優しく見つめていたい

真冬の嶺に 凍るバイザー

肌を刺す氷の刃

吹雪の中に差しのべられた

友の逞しい手

ああ 夢を 追う 命の守人

太陽に 愛を翳し

夢を紡ぐ 

明日に向かって

僕は 生き抜く

強い力で

君を守るために

 

 

stage3)

君を 守りたい

悲しみを乗り越えて

僕は 君の 涙を拭いて

遠く遙かな空へ

君を 守りたい

涙に濡れた瞳を

僕は いつも 忘れないで

堅く心に刻む

うなるエンジン 

しなるブレード

命をかけた任務に

流れる汗で叩き合った友の肩と肩

ああ 夢を 追う 命の守人

太陽に 愛を翳し

夢を紡ぐ 

明日に向かって

僕は 生き抜く

強い力で

君を守るために

 

We are not hero, just we want to save your life

Because,

We are the rescue wings.

 

 

詩曲:高尾 義博

編曲:渡部 哲哉

http://youtu.be/4Pm2VWhkdyc 

 

 

 

 

アハハ・・、下手くそな歌で恐縮です。本当は「元木」さんという上手な方が歌ってて、あだちビデオさんが販売しておられるCDは、そちらバージョンです。こちらは下手ですが、一応、正調ということで、言いまわし、歌いまわしは製作者のイメージどおりですからね、まあ、それなりに価値があると思われます。特に、カラオケの歌い過ぎで声帯ポリープができていた頃のややハスキーな声のバージョンですから、レアものです。

さて、この歌は、航空救難団発足50周年の祝賀会に、当時浜松救難隊員として出席するにあたり各隊何か出し物を・・との依頼に「隊歌を歌おう」かなと思ったところ、隊歌が無い・・実はあったのですが・・ということで、急遽作ったものです。拙速過ぎて、みんなで上手く歌えず、その時は完全に失敗でしたが、浜松基地には中空音楽隊があって、たまたま隊長が私の幹部候補生学校の同期でもあり、ちゃんとした「浜松救難隊団結歌」にしてもらえたわけです。とは言え、宴会の席で肩を組み交わして歌う曲相ではないので、合目的性に照らせば、やはり失敗でした。軍歌調では若い人には受け入れられない・・との気持ちがその原因であったと、ちょっと反省しています。ただ、年に一度、中空音楽隊が浜松市のアクトシティーホールで実施する定期演奏会でも披露していただいて、浜松市民の皆様には大変喜んで頂けました。その時に歌ってくださったのが中空音楽隊の元木2尉で、そのステージを最後にご勇退されました。たまたま陸上自衛隊の「男の群れ」という歌のCD製作を企画していた「あだちビデオ」さんが、航空自衛隊の隊歌として、この歌を選んで下さったというのが、先ほど冒頭で述べた話です。超マニアックですが、レアな隊歌が多くて、なかなかいいCDです。

歌詞は、過酷な環境下での訓練の中で差し出された逞しい救難員たちの腕と笑顔・・1番が洋上救出、2番が冬季山岳地での救助訓練をイメージしています。そして3番は事故で亡くなった多くの仲間とその家族の悲しみ・・それらを乗り越えて任務を完遂して笑顔で叩き合う肩と肩・・といった事を想いながら書きました。そして、事故は絶対に起こさない。絶対に死んではならない。生き延びてこそ人を助けるプロなんだ・・というメッセージも含んでいます。

渡部さんがサンバ調のとってもポップな曲にアレンジしてくれました。特に間奏のペットソロがいいですよね。                                                                  

                    

 

------永遠に------

潮騒に包まれて 一人佇む海

かもめ鳴く碧い空に 続く砂浜

遙 雲の上に 白い雪を纏い

雄々しく輝きそびえる 富士の山

僕らが生まれ育った 故郷の海よ山よ

いつまでも いつまでも 美しい日本でいて

君と永遠に在りたい この国に

夕焼けに照らされて 一人辿る家路

ふと吹く秋の風に 肩をすぼめた

あかりともる窓から 母の優しい声

僕のかけがえのない 大切な家族

僕らが生まれ育った 故郷の家よ友よ

いつまでも  いつまでも 美しい日本でいて

君と永遠に在りたい この国に

白い真綿のような 雪が降り積もる

この世の汚れを全て

清らかな白に変える

忘れたい思い出も

辛くかなしいことも

優しく包んでくれる 雪よとこしえに

僕らが生まれ育った 故郷の森よ川よ

いつまでも いつまでも 美しい日本でいて

君と永遠に在りたい この国に

薄紫の花よ 名前も知らない花

優しい可憐な姿に 心惹かれた

春風に吹かれて ひとり見つめていた

今は君と二人で その花を見てる

僕らが生まれ育った 故郷の花よ木々よ

いつまでも いつまでも 美しい日本でいて

君と永遠に在りたい この国に

詩曲 :高尾 義博

編曲歌:石川 秀明

 

 

http://www.youtube.com/watch?v=EMhLKn2FrJs&feature=relmfu

 

解説

この歌は、浜松基地を離陸して、東北東へ進路をとり、清水市上空あたりから富士山を見たときに「日本って本当に美しいなぁ・・」と感じた気持ちを歌にしました。季節ごとに4番まであります。日本の四季それぞれの美しさを表現してみました。最初は「冬」が無く、3番まででしたので、残念ながら「冬」は歌には入っていません。

歌っていただいたのはヤマハにお勤めの石川秀明さんです。渡部さんのご紹介で知り合うことができました。世界的に有名な方でギターが大変にお上手でうっとりします。インターネットでもブログやホームページを開設しておられますし、YouTubeではギター奏法に関する教授をしておられます。ぜひ見てみてください。

歌の製作に当たっては、私がクラビノーバで簡単な主旋律だけ書いて、口ずさんだへんてこりんな曲とともにお渡したら、どういうわけかこんな素敵な曲になりました。まさに音楽的才能の成せるところなのでしょうね。石川さん、本当にありがとうございます。

この歌を作った当時、私の部隊には70名ほどの隊員がいました。彼らは国を守るために日々厳しい訓練や、24時間態勢の待機に就き、危険な任務に飛んでいかなければなりません。そんな彼らが、守るべき対象である国家を愛せなかったら、それこそ命をかけて国を守ることなどできません。そんな彼らの愛国心を醸成する意味で、この曲を作った・・というのが背景としてあります。実は、この曲に限らず、私の「Hokori no Tsubasa」という、このホームページのコンセプトそのものが、この愛国心という心に集約されるであろうことは、皆様、既にお気づきのことでしょう。

隊員だけでなく国民全てが「美しい日本・・そして国を愛する心」を持ち続けたいものですね。

             

 

------夢のつづき-----

幼い頃抱いた 大空を駆ける夢

おとなになった今 僕の その夢はかなえられた

でも まだ終わらない

大切な君を守る

ために 

この大空を翔るという 夢の続きがあるから

僕らが生まれ育った

この国の

空をこの手でいつまでも

守り続けたい

命をかけて祖国を守る

青い空を駆ける夢の続き

 

 

 

大地が激しく揺れ 街ががれきに変わり

君の瞳が涙に濡れる そんな暗い空を

僕は飛んでいこう

君の笑顔を願う

大きな

愛と希望を乗せて 羽ばたく夢のつづき

僕らが生まれ育った

この国の

空をこの手でいつまでも

守り続けたい

命をかけて祖国を守る 

青い空を駆ける夢の続き

 

 

 

友が空に消えて 悲しみに涙も涸れ 

命を失うことの辛さを 知った夜もあった

でも 残された友の

あつい想いを胸に

秘めて

白い雲を飛び越え 追いかける夢のつづき

  僕らが生まれ育った

この国の

空をこの手でいつまでも

守り続けたい

命をかけて祖国を守る

青い空を駆ける夢の続き

  命をかけて 君を守る

  いつまでも追いかける

  夢のつづき

詩曲 :高尾 義博

編曲歌:石川 秀明

 

http://www.youtube.com/watch?v=2NYwwqGN4Yo

 

 

解説

少々、個人史的な感じになりましたが、航空自衛隊のパイロットは、みんな子供の頃から空に憧れ、そして、自衛隊に入ってから、国防の重要性を知る・・といった経過をたどりながら一人前のパイロットになっていきます。空の守りは、大空を翔る・・という夢の延長なんですね。私は、救難の前に、三沢基地にある「第8戦術戦闘飛行隊」に所属していたことがあって、1番は、その時のイメージです。スクランブル発進などで、戦闘機のパイロット達も日夜日本の空を守っていますが、なかなか報道することが難しいため国民の皆様の目に触れる機会が少ないのが現状です。2番は、阪神淡路大震災をイメージしました。誇りの翼の3番のイメージと同じです。3番は、三沢のBOQ(独身宿舎)で同室だった同期生が、後年、航空事故で亡くなりました。その当時秋田救難隊にいた私は、V107ヘリコプターで救助に向かいました。残念ながら遺体の一部と思われるもののみ救い上げ、三沢基地に向かったときにバイザーの中で流した涙を未だに忘れることができません。その気持ちを歌にしました。

歌詞の「祖国」という言葉は使われなくなって既に久しいような気もします。若い人たちには違和感さえ感じられるのではないでしょうか。でも、祖国っていうのは本当にありがたいものです。と言うのも、平成10年頃インドネシアで発生した暴動の際、航空自衛隊は邦人救出(正確には邦人輸送)のためシンガポールのパヤレバ空軍基地へC130輸送機を前進待機させたことがあります。私は、当時、六本木にあった航空幕僚監部の広報室に勤務しており、現地報道対応でC130に乗り現場へ行きました。シンガポールのホテルのエレベーターで、命からがら避難してきた家族と一緒になった際、私の迷彩服の肩についている日の丸を見て「日本から助けに来てくれたんですね、本当にありがとう・・」と、涙ながらに言われたことがあります。国内では騒音苦情で煙たがられることはあっても有難がられることなどほとんど無かった自衛隊・・、しかも、当時、埼玉県のとある高校の卒業式で国旗の掲揚や国歌の斉唱を先生と一部の生徒が拒否する・・といった事件があった頃でしたから、海外で目の当たりにした「日の丸を見て涙を流す在外邦人」の方々の存在に、正直、驚きました。部屋にもどって考えてみると「これはすごいことなんだ・・俺たちの存在意義はこれなんだ・・」国家がきちんと国民を守る・・ということの大切さを肌で感じた瞬間でした。その時の「祖国って、本当にありがたいものだなぁ・・」との思いが「命をかけて祖国を守る」という歌詞に繋がっています。そんな立派な仕事をしている自衛官・・、本当にやりがいのある、すばらしい仕事だと、退官した今しみじみと感じる次第です。

 

歌の制作でご協力頂いたお二人のページです。こちらも見てみてください。

 

渡部哲哉 「YouTube てつやんの試聴ページ」

http://www.youtube.com/user/tetsuyanmusic 

 

石川秀明(ツイッター)

 https://twitter.com/hide_ishikawa

 

 

 

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解説

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